【1】2014/03/24
月の光に照らされて真っ暗な世界に一筋の白が伸びてくる。俺が好きなのは自分の姿を隠しやすく、尚且つ楽に身動きできるこの真っ暗な時間である。外見が黒というわけか昼まではよく目立つ。俺は夜の方で行動する仕事の方が向いてそうだ。ただ夜は寝たい…それだけが問題点である。
「…怖じ気づいたか」
今日の仕事は案外楽な仕事だった。傷つけてもいい捕獲、危険であるためにその仕事を受けたいと思う人はなかなかいないらしいが俺たちは別だ。
「捕まえないと報酬貰えない」
「モント」
見た目はまったく同じだが髪や服装はまるで違う栗色の外見である双子の弟のモントが姿を現した。モントの恰好は夜歩くと白っぽい恰好なため下手に見つかりやすいがそんな簡単に見つけれるような弟ではない。陰に隠れるなんて造作もない彼に俺と同じ服装や同じ色を着たって結局同じ、むしろその色を生かしておびき寄せるのだから怖い弟かもしれない。
「わかってるよ、僕の仕事。ブランはただ見ているだけでいいよ」
俺に否定しない弟の心はよく読める。生まれつきなのだが俺だけモントの心情がと見とれるようになっているようだ。だから今もみえた。仕事を早く終わらせてそのあと捕虜を依頼人に届けにいってその後少し捕虜が可哀想なので花でも送ろうか…っという感じが。
「…」
「何?」
「俺よりもそいつがいいのか?」
「え」
その捕虜を今すぐにでも八つ切りにして俺の前から消したいっとおもった。
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