【1】2014/02/27
一時的に行われる戦場で、私は始めて敵軍側に足を踏み入れた。黒軍とは違った白ばかりのブレザーに自分の黒色がやけに目立った。私はただ真っ直ぐ敵が近寄るなりに銃声を鳴らし進む。私の道を立ちはだかる奴等は邪魔者でしかない。そう、そうやって前に進んできた。
だから今日は珍しかった。
『ねぇねぇ』
私はいままで敵軍は真っ直ぐ私の前にやってきて何も発せず、ただうずくまっているものだと思ってた。ただ私が強いとかではなく、話かけることも出来ないほど銃声が早いから。
『…』
だからびっくりしたんだ。後ろから私に微笑みながら私を見ている真っ白なブレザーを着こなしている敵軍が。
『何?』
君、面白い。ただそう思った。
『君って僕と気が合う気と思うんだけど』
『なんで?』
意味がわからない。君の言ってる意味がこれっぽっちも理解ができないんだけど。
『あっちに見える軍は?』
『白』
『じゃあなんで僕を撃たないの?』
質問ばかりされるのは好きではない。なんで私がこんなことに付き合っているのか、わからない。けど、
『君を面白そうと思ってるから』
なんでずっと私をみて笑っているのかわからない。興味深い上に君の正体を知りたい。
『じゃあ少しかえるよ。どうして僕は君を殺そうとしないと思う?』
あぁ、なるほど。君も、
『君も私を面白いと思うから』
敵軍に図々しく真っ直ぐ入ってきた私を珍しく思って、どんな奴なのかを気になっているんだ。
『ねぇ、気が合うでしょ』
あぁ、君が欲しい。
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【2】2014/02/28
今日面白い人に出会った。あんなに真っ直ぐ白の中に潜り込んできた、黒色の学ランがとても僕の中では輝いて見えた。毒薬を投げかければ倒れてからじっくり観察してもよかった、けど
『興味深いかも』
興味深い、それだけじゃない。なぜか話したい、どんな奴なのかを知りたい欲望が強かった。興味が湧いたものにはとことん知りたくなる僕の性格が背中を押す。
今まで見たことのなかった人種かもしれない。敵軍でもし僕に襲いかかることがあっても負けない自信がある。
『ねぇねぇ』
どうしてあんな言い方になったのかはわからない。気分が高ぶり自分がどのように話しているのかわかっていなかったからかもしれない。
『何?』
あ、僕は間違ってなかった。君とはこれから仲良くなりたい。例え敵軍であろうがなかろうが。彼の声がやけに僕の耳で鳴り響いた、僕は君に話かけて間違ってなかった。
『ねぇ、君。僕と友達にならない?』
彼の無表情の中で僕にはわかる、同じ気持ちの喜びがみえた。君と僕は似たもの同士のように見えて笑えた。
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【3】2014/03/01
今日は確か会える日だっけ?新乃と出会ってから秘密のやり取りをしている。新乃は全く敵軍に僕を渡そうともしないし、僕もそうはさせない、そんな関係で早一ヶ月過ぎた。
『元気だった?』
新乃が僕に会いに来た、相変わらずの真っ黒な服装で。綺麗な真紅色の瞳が、真っ黒な服装でインパクトとしての役割を与えているようにもみえる。
『新乃は?僕はいつも通り』
『私もいつも通り』
基本話すことはなく、ただ近くに寄ればお互いのやりたいことをし始める。新乃は二丁拳銃の手入れをし始めれば、僕は薬の研究を始める。たまに新乃が僕がしていることに興味を持ち始めたらずっとやり取りを見ている。
『今日はなに作ってるの』
『今日は気分転換に香水』
『え、?』
こ、こうすい?っなんて何なのか理解出来ないような表情になった。まぁ、薬だけ作れるってわけじゃないしね、調合を変えれば香水だって作れなくはない。
『香りがする水』
『私には無縁なものだと理解した』
『いや、無縁じゃないかもよ』
また眉間にしわがよった、面白い。だってこの香水はね。
『新乃のイメージで作ってるからね』
『…』
『眉間、眉間っ』
あ、出来た。見た目はただの水に見えるけど、僕特製の香水だ。僕も実は新乃のイメージとは違う香水をつけてたりする。だって失敗作を差し上げるわけにはいかないし。
『大丈夫、安心して』
『使う機会が全くないと思う』
『あぁ、確かに』
『確かにって』
『でも僕も使ってるよ?匂いは違うけど、お揃いもどきにならない?』
あ、お揃いに反応した。
『ふーん。』
『試しにつけたら?』
『わかった。』
あれ?案外あっさり受けとったなぁ。プッシュ式ボトルに香水を入れて渡すとしっかりと香水を受けとった。
『モント』
『え、なにって!うわぁあ!』
きゅ、急に香水を僕に吹きかけるって、え、えぇ?自分じゃないの?新乃が付けないの??
『へぇ、この香水いい』
あの…、僕に近寄って嗅ぐって犬ですか、新乃くん。まぁ、気に入ってくれたらよしとしますか。
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【4】2014/03/04
今日はモントを私の軍に連れて来てみた。
『隊長!そいつは!』
『捕虜』
『(…捕虜)』
モントを連れてくるには堂々といれなければならないし、捕虜なら用が済めば勝手に離しても何も言われないし、何度だって使おうと思えば使える。
『ねぇ寝るなら僕帰るよ』
いざ、モントを連れてきたからといって特別なことはしないし、何かをするわけでもない。とりあえずモントが私の部屋にいる、それが今日したかったこと。
『…帰るね』
『駄目』
寝たふりはバレバレだったみたいで、駄目と言えば笑ってるモントがいて、性格悪いなっと思った。
『僕が動くのも駄目、何もないなら帰りたいのに帰れない…どうしたらいいの?』
流石に興味がなくなったみたいでかなり退屈している。私だけが満足しているのもあまり気を良くしてないようにもみえる。
『モント』
『何?』
『次は私が捕虜役するからその時に私が今のモントの状態にならないようにして欲しい。だから今はこのまま寝よう』
『…寝るんだ』
『寝る』
その後モントの肩にもたれ掛かって、すやすや寝てしまった。まぁ、目が覚めた時にはモントも寝ていて、膝の上にあるノートに【新乃を飽きさせない計画】と書かれてあり、幾つものふきだしがあって細かく沢山書かれていた。
『流石』
そのノートは私が今見たらネタバレになるので、そっと閉じてからまた私は目を閉じて深い眠りについた。
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